安心・安全食材広場 ひおか

商品検索
商品カテゴリ
おかず
 └中華
 └洋風
 └和風
コロッケ
ご飯類
軽食
素材
 └野菜
 └魚・魚介
 └鶏肉
 └豚肉
 └その他
クリスマス
お菓子
  └和菓子
  └洋菓子
その他
おせち
  └冷凍食品
  └冷蔵(チルド)食品
  └年越しそば
特別セール


ショップ紹介
ひおかのお知らせ
秋商品「月見まんじゅう」取扱始めました。

2019年10月1日より、原材料高騰により価格改定をいたしました。<


フリーページ
rss atom

 

小説『朝霧』 十三話

 

奇妙な光景が部屋で行われていた。風呂場に着替えや浴衣を持ち込んで、鼻歌を歌いながら湯船に浸かる陽子。露天風呂に入る正造。磨りガラス一枚隔てて二人は湯船に。部屋が明るいのでシルエットで磨りガラスに陽子の裸体が映し出される。陽子は見えないからわからないが正造の方からは、陽子が湯船から立ち上がるとスタイルが物の見事に見えるのだった。
見ないようにしようと思えば思うほど見てしまう。細いウエストに適度な乳房のライン、よく見ると乳首まで見えそうな感じだ。長い脚、綺麗に上がったヒップ、若さに溢れた身体、長い髪が乳房に絡みつく。正造には我慢出来ない光景だった、思わず湯船に頭を沈める。シルエットが消えて、陽子は髪を洗っているようだ。正造は露天風呂を出て、冷蔵庫のビールを飲んで、浴衣を着て髪を乾かす。そしてテレビを見ていると浴衣を着て髪にタオルを巻いた陽子が出てきた。
「この部屋最高ね、洗面台も二つあるから便利ね、お湯もよかったわ。外のお風呂は広いからよかった?」
「う、うん」と生返事の正造。
「食事の時間までに髪乾くかな? 長いから時間がかかるのよ」そう言いながらドライヤーで乾かし始める。
「手伝ってあげようか?」
「えー、いいの?」
「お茶でも飲んで、テレビ見てれば!」そう言って冷蔵庫の冷えたお茶を差し出す。
「ありがとう」
正造が陽子の髪を持ってドライヤーで乾かす。弘子の髪を触っている感覚になっていた。
さきほどの裸体が瞼に浮かぶ。浴衣の隙間に胸の膨らみが感じられる。生唾が出そうになるほど、艶(なま)めかしい陽子の姿と髪。
「本当のお父さんみたいだね、実はお父さんにしてもらいたかったのよ」
「そうなの?」
「女の子ってお父さん好きじゃない? 初めて好きになる男性だもの」

「そりゃ、そうだね」
そう言いながら正造は陽子の髪を触るのが気持ちよかった。
しばらくして「乾いたかな?」と言うと「あとは自分でするわ、ありがとう」綺麗に整える陽子、浴衣に綺麗な黒髪が映えていた。
食事処に行くと、色鮮やかな付き出しの料理が並べられていた。
「綺麗ね、美味しそう」
仲居が飲み物を聞いた。もちろんビールの正造だが、陽子が「ビール飲んだことないけど、少し飲みたいな」と甘えて言った。
「未成年だろう?」
「お父さんが美味しそうに飲むから」
人目があるからお父さんと呼ぶ陽子に目を細めて「じゃあ、少しだよ」とグラスに注ぐ。正造のよく冷えたグラスにもビールが注がれた。
「じゃあ、乾杯」
「乾杯」とグラスを当てる。一気に飲み干す正造。少し飲んで「冷たくて美味しいよ」と言い出す陽子。
「飲める口かな?」
すると小声で「呼び捨てで呼んでよね、さん付けは、駄目よ」と陽子が先回りして言った。
外は大粒の雨が一層激しく地面に叩き付けていた。二人には全く気にならなかった。次々に運ばれる料理、飲み干すビール、金目鯛の煮付けが並んで「この魚何? 食べたことないわ」
「美味しいよ、関西には余り馴染みがないからね、食べてみて」
身を取って一口食べて「美味しいわ、こんなの食べたことないわ」
「ドンドン食べて」
「いいの? 幾らでも食べれそうよ」
「この刺身も金目だ」と教えると早速食べる陽子。
「これも、美味しい」
いつの間にか二杯目のビールも飲み干している陽子。
「まだ、飲むの?」未成年の陽子が美味しそうに飲むのを不安に成る正造。
「はい、美味しいです」
「少し酔ってない?」
「酔っていません」
「まあ、もう寝るだけだから」そう言いながらグラスに注ぐ。
陽子も「はい、お父さん、どうぞ」

そう言いながらもう何杯目だろうか? 正造は美味しそうに飲むのだ。こんなに美味しい料理に、可愛い陽子? 弘子? と飲む酒の美味しさを噛みしめていた。陽子は初めての酒にしては、三杯飲んでも平気だった。かえって頬を赤く染めて色っぽい感じで大人びた姿に見えたのだ。
正造は遠い昔を思い出していた、もしも、弘子と付き合っていたら、このような光景があったのだろうか? 今の状態は信じられない、弘子と瓜二つの娘と、高級旅館で差し向かいで食事をしてお酒を飲んでいる。今夜、陽子と同じ部屋で眠るのか? 頬をつねる正造の仕草を見て「お父さん、お母さんを思い出しているでしょう」
「陽子はわかるのか?」
「お父さんの考えていることは、あの占い師さんよりよくわかるわよ」
「それは、凄いな」
そこに仲居が冷やした茶碗蒸しとにぎり寿司を持ってきた。
「まだ、来るんだ。私、満腹」と笑う。
それでも茶碗蒸しを一口食べて「美味しい、満腹でも入る」と言ったら仲居が笑って「この後、デザートのアイスクリームもあります。お嬢様、本当にお綺麗ですね」と笑って空いた器を盆に載せて運んで行った。
「お父さん、このお寿司も美味しい」
「満腹だったのでは?」
「また入るのよ、不思議ね」
正造がトイレに行くと陽子が仲居を呼んで「ここって二人で幾らなのですか?」
「はっきりわかりませんが一泊二食でお二人様十一万ほどでございます」
陽子は心でびっくりしていた、もう少しで声に出そうだった。部屋は広い、お風呂は二つ、しかも浴槽にテレビ付、料理は最高。そうだろうな。おじさんにとんでもない散財をさせてしまったな。どのようにお礼をすればいいのだろうと考えていたら、正造が戻ってきた。すぐさま仲居がおしぼりを持参してくる、こりゃ高いはずね、と納得する陽子だった。デザートのアイスクリームも食べきって満腹顔の陽子。
「部屋に戻りますか?」
「はい、ごちそうさまでした」とお辞儀をする陽子。満腹の二人。
仲居が朝食も同じ場所で八時と告げて深々とお辞儀をしたのだった。食事処を出て「味も量も最高よね」
「美味しかったね」
「もう一度温泉に入ろう、今度は交代よ」

そう言いながら部屋に戻る二人、時間は夜の十時を過ぎていた。長い時間食事をしていたのだと正造はほろ酔いで、すっかりシルエットのことを忘れていた。内風呂はそのたびにお湯を入れないと入れない。陽子が湯船にお湯を溜める。
「おじさん、いっぱいになったら止めてね、私、外のお風呂に入るから」
陽子は髪を後ろで束ねて、露天風呂に向かった。
「凄い雨だわ、屋根がなかったら入れないわ」
そう言いながら浴衣を脱いで湯船に浸かる。正造が内風呂に入って浴槽の蛇口を止める。その姿が陽子から見えた。あっ、見えるじゃん、おじさんに見られたのかと苦笑いをしていると、浴衣を脱いで正造が入ってきたのを見て、「わー」と驚いて顔を赤く……。
陽子は先に風呂を出た。冷たいお茶を飲んでいたら、正造が風呂場から出てきた。
「おじさん、私のヌード見たでしょう」
嘘は言えなかった。すっかり忘れていたと照れくさそうに「綺麗だから見とれていました」と言うと「これで旅館代は無しね」と笑った。本気で怒っていなかった。父親に裸を見られた娘の心境だったから。
「私はもう寝るよ、疲れたから」そう言って寝室に向かった。陽子は少し緊張していた。生まれて初めて知らない男性と一緒に眠るから。しばらくテレビを見てから、寝室にゆっくりと入る。大きめのベッド。ほどよい室温で暑くないので眠れそうだ。正造は軽く鼾(いびき)をかいていた。寝ているわ、そう思って自分のベッドに潜り込む陽子。しばらくして寝た瞬間、部屋が揺れた。
「あっ、地震だ!」飛び起きる二人。いきなり正造にしがみつく陽子、陽子は地震が嫌いだった。恐かったのだ。しばらく揺れて収まったが、陽子は震えて離れない。
「どうしたの?」
「駄目、離さないで」そう言って震える陽子。浴衣の胸元が乱れて、裾も乱れていたが、離れない。
「大丈夫だよ」その時、二度目の小さな揺れがあった。
「駄目、もっとしっかり抱いて」そう言われて、抱きしめる正造。もう我慢の限界だった、いつしか唇と唇が絡み合っていた。陽子にとって男性との初めての口づけだった。ようやく落ち着いたのか、身体の震えが収まった。
震度4くらいの地震だったが、陽子の怯え方は尋常ではなかった。顔は青ざめて、震えていたのだ、正造が抱きしめなければどうなっていただろうか?

 

 
 

 
杉山 実の既刊本はBookWay、またはAmazonにて販売中。

 

お支払方法について

代金引換 銀行振込 クレジットカード決済を用意してございます。
ご希望にあわせて、各種ご利用ください。

決済


配送について

全国一律990円(税込)
※沖縄・北海道など離島に関しては1540円

※冷蔵・冷凍(チルド)食品は全てクール便発送

※冷凍食品と冷蔵(チルド)食品は混載できませんので、別々に送料が掛かりますがご了承下さい。

※冷蔵(チルド)食品にはチルドマークが付いています。

【配達日時、時間指定も承ります。】
※配達日時ご指定の場合は、ご注文日よ3日以降をご指定下さい。
宅配便

【業者】ヤマト運輸

【商品発送のタイミング】
特にご指定がない場合、
銀行振込、 ⇒ご入金確認後、3営業日以内に発送いたします。

クレジット、代金引換 ⇒ご注文確認後、3営業日以内に発送いたします。

【配送希望時間帯をご指定出来ます】


配送希望時間

ただし時間を指定された場合でも、事情により指定時間内に配達ができない事もございます。

商品代金以外の料金

送料、代金引換(ヤマトコレクト):3240円以上御買上げで代引き手数料無料。以下は一律324円です。
 
  各種振込手数料は原則としてお客様負担にてお願い致します。消費税は全て商品代金(税込価格)に含んで表示しています。
返品・交換について

お客様のご都合による返品に関しては、申し訳ありませんがお断りしております。



プライバシーポリシー

お客様からいただいた個人情報は商品の発送とご連絡以外には一切使用致しません。

当社が責任をもって安全に蓄積・保管し、第三者に譲渡・提供することはございません。 


お問い合わせ先

TEL: 079-427-1550
MAIL: hioka@hera.eonet.ne.jp
営業時間: 9:00〜17:00
定休日:土曜・日曜・祝日