小説『朝霧』 十五話
東京から帰った二人は週末、陽子の希望であった、母弘子の短大に向かった。夏休み中で閑散とした校内。クラブ活動の生徒が数人、運動の練習をしていただけ。それでも、陽子はここで何十年か前に母が学んだのかと思うと感無量だった。正造も学校に来たのは初めてだった。運動の生徒が会釈をして「娘さんの入学ですか?」と声を掛けてきた。正造が笑顔で頷うなづくと「楽しい学校ですよ、是非に」と言ったのだ。「ありがとう、おじさん、いやお父さん」涙目の陽子の肩を叩く正造。
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